VPNとは?仕組みや種類、メリットについて解説
技術情報 —
こんにちは!
ネットワークカメラとIP監視カメラシステムのシステム・ケイです。
皆さんは、「VPN」をご存知でしょうか?
名前を聞いたことはあってもどんなものかは知らないという方も多いのではないでしょうか?
今回はそんなVPNとは何か、仕組みやメリットについてご紹介します!
目次
VPNとは
VPNとは、Virtual Private Networkの略称で、仮想専用通信網という意味です。
このVPNでインターネットに接続することをVPN接続と言い、送受信するデータを悪意ある第三者から守ることができます。
VPNの仕組み
VPNは、主に以下の4つの要素から成り立っていますので、一つずつ解説していきます。
トンネリング
トンネリングとは、ネットワーク上に仮想の通信回線(トンネル)を構築することです。
通常のインターネット回線は不特定多数の人が接続できてしまいますが、トンネリングされた仮想回線を使うことで、クローズドなネットワーク構成となり、インターネット上でもプライベートな通信が可能になります。
カプセル化
カプセル化とは、パケットを別のプロトコルで包み込んで送ることです。
カプセル化したデータを暗号化することではじめてデータを外部から中身が見えない状態にすることができます。
認証
認証とは、トンネリングされた回線へのアクセスの際、その人が利用権限を持っているかを確認するシステムです。
トンネリングだけでは、専用の回線を用いているだけで見つけてしまえば誰でもアクセスできてしまいますが、認証により、第三者からのアクセスを防ぐことができます。
暗号化
暗号化とは、情報漏洩を防ぐための機能です。
認証システムが突破されてしまった際にデータを盗まれるリスクを回避するため、トンネリングされた回線内のデータを解読できないように変換し、中身のデータを見えないようにすることができます。
主に暗号化にはセッション層で施されるSSL-VPNと、IP層で施されるIP Sec-VPNがあります。
VPNの種類
インターネットVPN
インターネットVPNは、通常のインターネット回線上にトンネルを構築する方法です。
既存のインターネット回線を利用するため低コストでVPN環境を作れますが、回線が込み合った際に通信速度が遅くなる点や、セキュリティ面が他の方法に比べ劣るといったデメリットがあります。
エントリーVPN
エントリーVPNとは、通信事業者が提供する安価な光ブロードバンド回線を用いて閉域網を構築する方法です。
閉域網の中では低コストで導入できる点や、利用には権限が必要なためインターネットVPNよりも高いセキュリティを持っているといったメリットがあります。
しかし、使用する光ブロードバンド回線には帯域保障がないため、通信品質が不安定といったデメリットもあります。
IP-VPN
IP-VPNとは、通信事業者が保有する閉域ネットワーク上に仮想の通信経路を構築する方法です。
閉域ネットワークを使用するためセキュリティ性が高く、安定した通信が可能です。
パブリックゲートウェイを避けて接続できるためセキュリティ性が高く、通信品質も安定しています。
専用回線に近い環境での通信を行えるため、運用コストは高くなってしまいますが、セキュリティ面や通信品質を高くしたい場合に向いています。
広域イーサネット
広域イーサネットは、IP-VPNに似たネットワーク構成ですが、IP(インターネットプロトコル)以外のプロトコルを使える方法のことです。
通信品質とセキュリティ面ではIP-VPNと同様で、さまざまなルーティングプロトコル(ルータ間で通信する時に使う規約)に対応できるため、カスタマイズ性が非常に高く柔軟なネットワーク設計が可能なVPNです。
しかし自由度が高い代わりに複雑な設定を自分で行わなければならないため、敷居が高いことがデメリットとなります。
VPNのメリット
高いセキュリティ
通常のインターネット回線と比べると、VPNを利用するだけでセキュリティを高めることができます。
仕事などで扱うデータのやり取りを公共のネットワークで送受信してしまうと、第三者によって自由にアクセスできる可能性があるため、VPNを利用することで、アクセス権限を持つ人同士のデータのやり取りが可能です。
専用線よりも低コスト
自社の専用線を設ける場合と比べ、VPNの利用は格段にコストを抑えられます。
セキュリティは高めたいがコストも抑えたいという場合には、インターネットVPNもしくはエントリーVPNを利用すると良いでしょう。
距離の制限がない
VPNは新たに回線を設置する必要がないため、海外など距離が離れている場合や、モバイル端末からもアクセスできます。
近年ではリモートワークなどで離れた拠点と通信する機会が増えたため、そのような場合にもVPNは適しています。
導入が簡単
VPNの導入には、VPNルーターの準備や契約を結ぶだけで利用できるため、導入が非常に簡単です。
ネットワークの管理も通信事業者が行ってくれるため自分で行う必要がなく、試験的な導入もしやすいです。
VPNのデメリット
通信速度が低下することがある
VPNの中でも、特にインターネットVPNを利用する場合は、通信速度が低下する場合があります。
低コストで導入できることがインターネットVPNのメリットですが、通信品質を確実に良くしたい場合には、通信速度が速いインターネットを選んだり、IP-VPNなど別のVPNを検討しましょう。
セキュリティリスクを排除しきれない
VPNを利用していても、セキュリティリスクには注意しましょう。一部の無名なVPNサービスを利用するとログが保存されたり、データを第三者に販売されるなどして情報漏洩する可能性もあります。
導入する際は、コストだけでなくプロバイダやサービス業者の下調べなども十分に行いましょう。
VPNの選び方
セキュリティ強度
VPNの種類によって、セキュリティの強度には大きく差が出てきます。
特にインターネットVPNと比較すると、IP-VPNの方が安全性が高いです。
また、ユーザーのログを記録しない約束である「ノー・ログ・ポリシー」を採用している業者のVPNを選ぶことで、業者に対しても安心して利用できます。
通信速度・通信制限
通信回線サービスには、ある程度の通信速度を保証してくれる「帯域保障型」と保証がない「ベストエフォート型」に分かれています。
安定した通信速度を求める場合には、コストも高くなりますが帯域保証のある業者を選ぶ必要があります。
また、帯域制限というデータ通信の制限があるVPNもあります。
これはインターネットの使用状況に合わせて、プロバイダー側が通信速度を遅くして制限するというものです。
帯域制限がかかってしまうと、動画などを視聴する際に画質が落ちたり映像が止まってしまう可能性があります。
快適に利用するためにもこれらの項目を確認しましょう。
コスト
VPNの中には無料のものから高額なものまで幅広くあります。
しかし、無料で利用できるVPNはサービスの質が低く、セキュリティの面などでも不安があるため、できるだけ有料のものを選ぶことをおすすめします。
有料のVPNを選ぶ際には値段が安いかだけではなく、どのようなサービスを行っているかを確認し、導入目的に沿ったVPNを選ぶ必要があります。
デバイス対応数
VPNにアクセスできるデバイスの数も確認すべき項目です。
もし確認せずに1つのデバイスでしかセットアップできないVPNを選んでしまうと、スマホとパソコンを同時に使用したい場合などの使い分けが難しくなってしまいます。
使用したいデバイスの数のセットアップが対応しているか確認しましょう。
VPNの活用シーン
無料Wi-Fiの利用時
出先でインターネットに接続する際、Wi-Fiを利用する方は多いと思いますが、無料Wi-Fiは悪意を持った第三者によってデータを閲覧する可能性があり、情報漏洩のリスクが高いです。
しかしVPNを利用してWi-Fiを使用する場合、セキュリティ対策を行うことができ、安心して利用できます。
テレワーク
テレワークでは自宅から社内のシステムにアクセスするため、セキュリティ対策が非常に重要です。
VPNを利用することで、セキュリティ対策をしつつ専用機を用意するよりもコストを格段に抑えられるためおすすめです。
地域限定コンテンツの利用時
VPNは接続元を変更できるため、本来その地域からはアクセスができないコンテンツも利用することができるようになります。
日本に居ながら海外限定のサービスにアクセスしたい時には、その国のVPNサーバーを利用することで閲覧できるようになります。
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まとめ
- VPNとは情報セキュリティを強化するための技術
- VPNには大きく分けて4種類あり、主にセキュリティの強度とコストが比例する
- 無料Wi-Fiやテレワークなどの際に利用するのがおすすめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
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