HDD RAID(レイド)で守る録画データ。RAIDの種類と意味について
NVRの知識 —
こんにちは。システム・ケイのシンゴりらです。
監視カメラの録画データはとても大事な財産になります。
録画データは、事件・事故が起きた際の証拠になり、
過去の状況を客観的に説明してくれる証人になってくれます。
しかし、大切な録画データを保存しているHDDは突然故障してしまうことがあります。
一般的にHDDは熱や埃に弱く、また電源の瞬断等によっても故障のリスクが高くなってしまいます。
また、HDDはよく消耗品とも呼ばれ、HDDメーカー各社から耐久性の高いHDDが販売されていますが、
それでも故障の可能性はゼロにはなりません。
本日は、HDD故障から録画データ損失のリスクを減らす「RAID」について説明します。
【2021/8/5更新】
- RAID6の説明を追加しました。
- RAIDに関連する機能のホットスペアとホットスワップの説明を追加しました。
目次
RAIDとは
RAIDとは「Redundant Array of Independent Disk」の略です。
つまり、一つ一つのディスクを組み合わせて冗長化することを意味します。
冗長化とはなんでしょうか?
冗長とは一般的には無駄なことや余剰があることを意味します。
しかし、ここでいう冗長化とはHDDの一部に障害が発生した時に備えて、
バックアップ用のデータを保持しておくことを意味します。
RAIDの基本的な仕組みとしては、何本かのHDDを1組にし、
本来のデータに加えて、バックアップ用のデータやパリティと呼ばれる
データ復旧のためのデータを保存することになります。
このとき、1組になったHDDのことをArray(アレイ)と呼びます。
RAIDには、RAID0、RAID1、RAID5などの種類があります。
このブログでは主なRAIDの種類について説明していきます。
RAID0:ストライピング
RAID0では1つのデータについてRAID0を構成しているHDDの数に合わせて分割し、
同時にそれぞれのディスクに書き込みます。
RAID0は「ストライピング」とも呼ばれます。
複数のHDDに同時に書き込むため、データ書き込み時間を減少できることがRAID0の利点になります。
しかし、防犯カメラのレコーダーという用途では、
1秒間に書き込むデータ量は1秒間の映像データのみと決まっているため、RAID0の利点はほとんど無いといえます。
さらに、RAID0を構成するディスクのうちの一つに障害が発生すると
RAIDアレイ全体が利用できなくなるというデメリットもあります。
そのため、録画用途ではRAID0はほとんど使われません。
RAID1:ミラーリング
RAID1では、2本のディスクを一組として2本のディスクに全く同じデータを記録します。
全く同じデータを持つディスクが2本できるため、RAID1は「ミラーリング」とも呼ばれます。
RAID1で運用中にどちらか1本のディスクに障害が発生しても、
残りの1台が正常であれば、稼働し続けることが出来ます。
また、障害が発生したHDDを交換して、RAID1の状態(2本のディスクに全く同じデータが保存されている状態)に戻すことも出来ます。
このRAID状態を復旧することをrebuild(再構築)と呼びます。
RAID1を構成すると、実際に使用できるHDD容量は半分になります。
RAID5
RAID5では、複数のディスクにデータを分散して書き込むとともに、
パリティと呼ばれるエラー訂正のためのデータを幾つかのディスクに書き込みます。
RAID5で運用中にどれか1本のディスクに障害が発生した場合、
パリティ演算によりデータ読み出しや復旧を行うことが出来ます。
RAID5を構築するためには3台以上のディスクが必要となり、
実際に使用できるHDD容量は、RAID5を構成しているHDD本数から約1本分減った容量になります。
RAID6
RAID6ではRAID5と同様に複数のディスクにデータを分散して書き込むととともに、
パリティを2台のディスクに書き込むことで耐障害性を高めています。
RAID6では運用中に最大2本のディスクに障害が発生した場合でも
パリティ演算によりデータの読み出しや復旧を行うことが出来ます。
RAID6を構築するためには4台以上のディスクが必要となり、
実際に使用できるディスク容量は、RAID6を構築しているHDD本数から2本分減った容量となります。
また、RAIDを構成するディスクの本数が多くなるほど書込み速度は高速になります。
RAID10
RAID10はRAID1とRAID0を組み合わせたRAIDになります。
つまり、2本1組のRAID1で構成したアレイを複数個つくり、RAID0として組み合わせます。
RAID1のミラーリングによる耐障害性と、RAID0のストライピングによる高速化の両方のメリットを併せ持ちます。
RAID10では、RAID1として構成したアレイごとに1本のディスク障害に備えることが出来ます。
つまり、HDD4本でRAID10を構築した場合、2台1組のRAID1のアレイが2組構成されることになります。
それぞれのアレイで1本ずつであれば、2本同時のHDD障害から守ることが出来ます。
2本のHDD障害が同じアレイで発生してしまった場合はデータ復旧することが出来ません。
RAID10を構築するためには、4本以上のディスクが必要となり、実際に使用できるHDD容量は半分になります。
各RAIDの特徴
各RAIDの特徴を表にまとめます。
RAID0 | RAID1 | RAID5 | RAID6 | RAID10 | |
---|---|---|---|---|---|
最小構成HDD数 | 2本 | 2本 | 3本 | 4本 | 4本 |
耐障害性 | なし | 1ディスク | 1ディスク | 2ディスク | それぞれのアレイ毎の1ディスク |
実際に使用できる容量 | 構成HDDの全容量 | 構成HDDの半分の容量 | 構成HDDから1本分減らした容量 | 構成HDDから2本分減らした容量 | 構成HDDの半分の容量 |
メリット | データの読み書き速度が速い | 安価な製品に実装できる | HDD使用効率が良い | 耐障害性が高く、データの読み書きが高速 | 冗長性が高い |
デメリット | 冗長性が無い | HDD容量使用効率が悪い | 高価格 | コストが高く、HDD容量使用効率がやや悪い | HDD容量使用効率が悪い |
ホットスペア
ホットスペアとは予め予備HDDを機器に搭載しておく事で、
ディスクに障害が発生した時に自動的に予備HDDをRAIDに組み込みRAIDを再構築する機能です。
これによりHDDに障害が発生した時により早くRAIDを健全な状態に戻すことが出来ます。
ホットスワップ
ホットスワップとは機器が稼働している状態で障害が発生しているHDDの交換が行える仕組みです。
通常、HDDが故障した時は機器を停止させた上でHDDを交換するため、
レコーダでは交換作業中は録画を行う事が出来なくなります。
しかし、ホットスワップに対応している機器の場合、録画継続しながら故障しているHDDの交換を行う事が出来ます。
まとめ
- ・RAIDはHDD障害から録画データを守る仕組みです。
- ・RAIDには種類がありそれぞれ特徴があります。ご利用用途に合わせたRAIDを選択して下さい。
- ・HDD障害は避けられないもの。もしもの場合に備えRAIDをオススメします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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